子育て:回答に困る質問シリーズ「なんで勉強するの?」

校長先生、先日うちの息子から
「なんで勉強しなきゃいけないの?成績は普通だけど将来は普通の会社員になれればいいから今のままでいいじゃん。」
と言われてしまったんです。
私も子どものころそれほど成績が良かったわけじゃないので何と言っていいか困ってしまって。

それは困りましたな。
だが答えは簡単、
「自分のため!」
ですな。

ふ、普通過ぎる。。。
では失礼します。

まぁ待ってくださいw
さすがに乱暴すぎましたな。
正確には
「なぜ自分のためになるのか?」
を子どもと一緒に考える必要がある。
ということですな。
勉強が必要なのは自分のため、それは子どももわかっている
お母さんが普通過ぎるといったとおりですが、普通であり正しい答えが
「自分のため」
なんですよね。
実は子どももそんなことは百も承知でこの質問をしてくるのです。
ではなぜ聞いてくるのか?
「自分のため」って、具体的にどんなメリットがあるの?
勉強が具体的に自分にとってどんなメリットがあるのか?
それが明確ではないから不安になるし、しんどい勉強はやりたくないのです。
親子で将来の設計図を考えてみよう
そんな時は親子で設計図を考えてみましょう。
先ほどの例でいうと子どもは
「普通の会社員でいい」
と言っています。
じゃあ普通の会社員ってどんな感じ?
年収は?
どんな生活がしたい?
ざっくりとした話でいいのでしてあげましょう。
この質問をしてくるお子さんは、割と家計に余裕のある家庭が多いです。
家計で苦労しているお子さんは「自分が勉強して稼いで家計を助けたい」「自分は将来もっといい生活を頑張って進学する」か、関心がない(あきらめ)のどちらかでこの疑問がわかないことが多いようです。
子どもたちの言う
普通の生活とは
=金銭的に不自由のない生活
ということだと思います。
独身で金銭的に困らない年収ラインは350万
これは月収手取り20万、ボーナスありの企業に勤めた場合のおおよその金額です。
では20代会社員の各学歴別の平均年収を見てみましょう。
・大卒・大学院卒 ・・・320万
・短大・専門学校卒・・・284万
・高卒 ・・・262万
これは平均なので、新採用時はもっと低く、昇給によって20代後半はもっと高くなります。
「学歴はどこか?」
だけでスタートから差がついてしまっています。
良し悪しは別にして、日本では大卒というだけで採用されれば初任給が高卒よりも良いのが現実です。
もちろん資産家の息子で最初から資産運用で不労所得!とか漁師(農家)の子で引き継げば収入安定、とかいう例外は抜いて考えてます。
そういう方は確かにいわゆる学校の勉強はあまり重要ではないかもしれません。
大学進学のメリット・デメリット
この話をすると必ず
「大学進学すればいいわけじゃない!いわゆる※Fラン大学じゃ役に立たない!」
→※予備校などが大学の入試レベルによってA~Fの難易度であらわしたもの。Fランクは一番易しい。
という方もいます。
確かに一理ありますね。
企業側も大卒は給料が高いわけですから少しでも優秀な大卒を採用しようとします。
ですから大学進学の
メリット:高ランクの大卒は採用されやすい
デメリット:低ランクの大卒は採用されにくい
ということになります。
低ランク大卒でも採用されれば大卒初任給はもらえますから、その分就活を頑張ればいいわけです。
しかし義務教育で勉強を頑張れば高ランク大学で就活は有利になるのは間違いありません。
どの時点で頑張るか?の違いです。
会社員以外はどうなのか?
中学生になって、高校生になって
「憧れの職業が見つかった!」
という話はよく聞きます。
おおいに結構、頑張ってほしいですね。
ですが、夢が見つかった時、夢の実現のためにはいくつものハードルが出てきます。
人気の職業についてみてみましょう。
例:医者→医大卒・医師国家資格合格
公務員・教員→大卒。教員は教員免許
プログラマー・IT関連→プログラミングスキルの他、プログラム言語に関する英語、論理的思考力
プロスポーツ選手→卓越した競技スキル、場合によっては言語スキル
プロゲーマー・ユーチューバー→競技スキル、編集スキル、個人事業主としての金銭知識、簿記知識、炎上を防ぐためのリテラシー知識
これらのハードルをクリアするには、少なくとも義務教育期間中の勉強は役に立つ可能性が高いです。
四則計算、英語力、その他どの学力が必要になるかはその時になってみないとわかりません。
勉強は自分の未来の選択肢を広げるため
中学3年生で医者を目指すときに、数学や理科がボロボロではそもそも医者になるための進学すらできません。(私も含め多くの人がここで医者を諦めるw)
プロ選手は競技スキルが第一ですが、世界で活躍するには言語スキルも必要でしょう。また、狭き門ですから、プロになれなかった場合は社会で働くための学力や知識が必要になります。
前半の不自由しない会社員を目指す、にも大学進学が大事になってきます。
いずれにしても、義務教育での学習(勉強)は必要であるといえますね。
大事なのは、子どもと一緒に考えること
「勉強しなさい!」
この言葉は私も何度も言われてきました。
しかしこの言葉を聞いて、
「良し!頑張って勉強しよう!」
となったでしょうか?
自分が言われて効果のなかった言葉を子どもに使うのはダメですよね。
一緒に考え、子ども自身に
「勉強は必要だ」
と気づかせることが大事です。

私も学校から帰ると親に何も言われないように玄関にカバンを放り投げて遊びに行ったものだ。
だがなんとなく学力の必要性は感じていたので学校の授業を真剣に聞き、そこで吸収しようとはしたな。
小学校くらいならそれで充分ついていけたものだ。
=おまけ=
今回は「子どもと一緒に考える」という視点で書きました。
なので、現実的、打算的な感じは否めません。
もし、高校生や大学生でこの悩みにぶつかったら私ならこう答えます。
「勉強は、自由に生きるための武器である」
「知識は自分の財産である」
「知識は、自分の人生で正しい判断をするための基準である」
と。
しかし小学生には難しいですので、この辺のことは大導寺校長のコラムでいつか書こうと思います。