災害で被災した子供たちに学校ができること

コラム
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大導寺校長
大導寺校長

よう、校長の大導寺だ。

元気にやってるか?

全国の教職員の諸君、日々勤務お疲れ様だな。

 

さて、今回の台風は全国的に甚大な水害をもたらしてしまった。土砂崩れや地滑りの危険は今後しばらく続くだろう。

学校の近くに崖や川があるところはしばらく注意が必要だ。

災害時などの非常時、大人たちは避難や救助活動、連絡、片付け、仕事などやることが山積みになる。そうすると子供たちのケアはどうしても後回しになってしまう。

これはある程度仕方のないことだが、では、学校として、教員として子供たちにできることがないだろうか?気を付けることはないだろうか?というのが今回のコラムの内容だ。

学校体制にも関わることなので全職員で話し合いながらすすめていこうと思う。

災害後は子供たちの家庭状況を確認

大導寺校長
大導寺校長

今回の雨はすごかったな。みんなは大丈夫だったか?

並川先生
並川先生

僕は大丈夫でしたが実家の家族は避難したようです。

何もなかったようですが。

 

深田先生
深田先生

風と雨の音が怖くて寝られませんでした・・・。

 

台風などの災害の後は、まずは自分たちのクラスの子供の被災状況をしっかりと把握しよう。

 

特に校区内で災害が発生している場合は詳細に把握したほうがいい。

休んでいる子供がいたら、病気なのか、ケガなのか、そのほかの理由なのか、できる限り情報を集めよう。近所に住んでいる友達が情報を持っていることもある。

なるべく早く、被災後最初の登校日の朝の会でなるべく情報を集めような。

大導寺校長
大導寺校長

被害を受けた家庭の情報は全体で共有できるといいだろう。

出席簿に手書きのメモで構わない。

組田先生
組田先生

では私がまとめて一覧表にします。

部外秘情報なのでプリントしません。各自校内LANで確認ください。

 

 

 

子供の変化を見逃さない

愛原先生
愛原先生

子供たちは不安や不安定な感情をうまく言葉にできないわ。
被災した子で体調不良を訴える子がいたら気を付けるわね。

厚井先生
厚井先生

うむ、感情が不安定になると生活態度や言葉遣いに出ることもある。

トラブルを起こしやすくなることもあるからな。

愛原先生
愛原先生

そうね、発言や行動を注意するだけではなくて、その背景を考えてあげる必要があるわね。

 

東日本大震災のあと、被災地の子供たちにの間で「地震ごっこ」「津波ごっこ」というのが見られたという。

不謹慎に思えるかもしれないが、衝撃的な災害をごっこで追体験し、友達同士で生き残ることで精神的な不安を克服しようとしている行動だといわれている。

このことについては「日本子ども社会学会」の論文「津波ごっこ/地震ごっことは一体何か?」を読んでいただきたい。

小学生の子供たちはまだまだ言語表現が苦手だ。自分の不安をうまく言葉にできないこともある。

また、中学生や高校生になると非常時ということで気を使い、自分の思いをあえて言わない、大人に心配をかけたくないという心理が働くことがある。

だが、どちらもそのストレスをうまく処理できず、体調不良やイライラとして表面化することがあるな。その辺をどれだけ見つけることができるか。

日常的に長時間子供たちと関わっている教員なら、小さな変化を見つけやすいこともある。

早めの専門家依頼がいい場合もある

深田先生
深田先生

でも、被災している子に、被害のことを直接話してもいいかどうか迷います。

さらに傷つけてしまわないか不安です。

大導寺校長
大導寺校長

うむ、その不安もよくわかる。

 

災害のことを子供と話すのには不安を感じることもあるだろう。

 

ましてや被災して、自分や家族に被害が及んでいるならなおさらだ。

だが、実際に体調不良や問題行動として表出していたら放置できない。その子のためにも早い対処が必要だ。

そのために、指導に不安を感じたら、周りの教員やスクールカウンセラーに相談しよう。一人で抱え込まない方がいい。トラブルになってからでは対処が難しくなる、早めに相談が基本だ。

愛原先生
愛原先生

以前記事にも書いたけど、私を上手に使ってね。

 

 

 

家庭と情報共有を。責めない、求めないが大事

並川先生
並川先生

家庭への連絡はどうしたらいいでしょうか?

大導寺校長
大導寺校長

うむ、これは少々難しい。よく聞いてくれ。

子供の様子や、子供から聞き取ることができた不安、不満などの情報は家庭にも伝えよう。

ただし、ここで絶対に気を付けてほしいのは「責めない・求めない」だ。

家庭全体が被災者なのだから。

一般的に、誰だって我が子は大事だ。寂しい思いやストレスを抱えているであろうことは親もわかっていることが多い。

だが、それでも尚、災害処理のため子供たちにかまってやれないジレンマに置かれていることを理解しよう。

子どもたちの様子や発言内容をある意味「淡々と」伝えればよい。

「これからも様子を見ていきますね。」

「家庭でも変わった様子があれば遠慮なく教えてください。」

こうやって、学校と家庭のチーム体制を作っていけばいい。

 

学校を「安心していられる場所」になるように環境を整えよう。

普段通りの授業をして災害前の日常を取り戻すもよし、たのしいイベントをして災害を忘れる時間を作るのもよし、クラスの実態を踏まえながら実践だ。

教員の子も子供だ

大導寺校長
大導寺校長

最後にな、どうしても言いたいことがあるんだ。

非常事態時、大人たちは復旧、復興のためにすべてを注いで努力する。生活基盤を早く取り戻すことは、子供たちの未来の為でもある。

その間、子供たちを支え、安心させることは、教師の大事な職務の一つとなることは間違いない。

そして、それは教員自身の子供たちにとっても同じことなのだ。

日頃の激務も承知している。災害時はさらに仕事も増えて大変だろう。家でのんびりする時間などほとんどないかもしれない。

だが、わずかな時間でもいい、我が子と過ごす時間を大事にしてほしい。

 

時間の長さより質を重視だ。

 

小さなお子さんなら一緒にふろに入る、朝の出勤前に抱っこしながら話をする、「大好きだよ。」と言葉にして伝える。わかりやすい愛情表現をしてあげよう。

大きなお子さんなら、「先生の子」というプレッシャーと日々戦っていることも多い。これは致し方ない。その苦労を認めてあげよう。それから、大人として対等に付き合おう。

参考にするしないは別にして、「うちのクラスにこんな子がいるんだけど、子供の立場としてどう思う?」などと相談をするのも悪くない。

存在を最大限認め、ともに生きていく姿勢を子供にも見せてあげてほしいな。

 

被災地の平和な日常が少しでも早く取り戻せますように。

大導寺 匠

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