問題解決とクレームの違い、子どもの成長のための学校と家庭の連携法

保護者のみなさまへ
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今日はあえて難しいテーマについて語ろうと思う。

学校でトラブルがあった時、あなたならどうする?

まずは自分の子どもから話を聞くだろう。

その次は?

学校に電話する。

まぁそうだろう。

では電話で何を話すのか?

 

学校に電話をするときのメソッド

ただ学校に電話しても、問題解決にならないことがある。

特に「何とかしてください!」

はやめた方がいい。

電話の内容と順番を間違えると解決どころか自分の子どもが窮地に陥ってしまう可能性がある。

話し合いの部分と、手続きの部分をドライに使い分けることが重要だ。

今日はそのメソッドを伝えようと思う。

教職員の立場からするとなぜこんなことを書くのか?敵か?

と思われる方もいるかもしれないが、学校側も今回のコラムの内容を心の片隅に置いて対応することが、実はスムーズな問題解決につながるということに気づいていただければと思う。

 

①まずは自分の子どもの話をよく聞き、証拠を集め、ケアをする

学校でトラブルがあったと我が子から報告があったら、まずは子どもから話をよく聞こう。

そして話したことをメモすることだ。

真剣に話を聞き、相づちを打つことで子どもも安心し、落着きを取り戻していく。

自分の子どもの安心、安全が最優先だ。

子どもと一緒にメモを見ながら、事実を積み重ねていく。

自分の感情はひとまず横に置いておく

話しを聞くうちに相手に対して、もしくは学校に対して怒りがこみあげてくるかもしれない。

だが、ここはグッとこらえて欲しい。

なぜなら、親であるあなたは現場を見ていない。

事情聴取は関係者全部から取って初めて判断材料になる。

我が子から聞いたことだけで怒りに任せて学校に連絡しただけでは、拗れたり、実は我が子が加害者だった...などということもゼロではないのだ。

メモに残していくことで、もし自分の子や相手方が後に嘘やつじつまの合わないことを言ったとしても修正できる。

文書というのは強力な証拠になる。

まずは自分たちの事実をきちんと文章化しよう。

 

②必要に応じて身体的なケアも

またもし子どもがトラブルによってケガをしているようなら、すぐに病院に行くことをおすすめする。

「このくらいのケガならおうちで様子を見よう。」

というレベルの物でも、相手があってトラブルの結果ケガをしたなら病院をおすすめする。

理由は簡単だ。

いじめが絡んでいるような場合、被害者の供述だけよりも、こういった第三者、しかも専門家の診断は強力に作用する。

日本では、いかなる理由があったとしても暴力は基本的に違法行為だ。

あいてが違法行為を行っていたという証明は、なるべく公的な証拠が有効であり、しかも直後に証明しておくのが鉄則だ。

後から証明するのは難しい。

そして医師に、ケガの原因の予測をしてもらうといいだろう。

打撲なのか、絞められてできたものか等々。

後に診断書をお願いするかもしれないということを伝えておこう。

そうすることで医師も診断書を書きやすいように詳細にカルテに書き込んでくれる可能性がある。

 

③学校に連絡する

さて、いよいよ学校に連絡となる。

落ち着いて、深呼吸の一つでもしてから受話器をとろう。

落ち着くために鏡で自分の顔を見るといいと聞いたこともある。

とにかく感情的にならないことが大事だ。

担任の先生につながれば一番いいが、放課後に事実を知って、①②の手順を踏んでいるうちに勤務終了し退勤しているかもしれない。

その場合は、管理職や残っている教員に相談し、大まかに内容を伝えて対応してもらうといいだろう。

大まかとはどの程度か。

「今日学校でトラブルがあった(ケガをした)。子どもからは報告があったが担任からはもらっていない。事実を把握しているのか確認してほしい。」

この程度でいいだろう。

おそらくほとんどの場合、学校から担任へ迅速に連絡がいき、折り返し連絡が来ることになると思う。

連絡した時刻のメモも忘れずに。

 

④メモに沿って子どもから聞いたことを伝える

担任と連絡が取れたら、①でとったメモをもとに担任に情報提供をしよう。

・トラブルの内容

・相手がいる場合は相手の名前

・ケガをしていた場合はケガの内容、処置の報告(学校でのケガは学校保健で医療費がおりることがあります。)

・担任は知っていたかの確認

そして最後に、今後のスケジュールを確認するといいだろう。

おそらく放課後に対応すると相手の子どもの事情聴取などは翌日になるだろう。

その後学校としての判断、問題解決への対応となるので、当日できることはここまでだと思われる。

ここまで冷静に対応できたなら、あなたは相当素晴らしいと思う。

人間は、感情的に訴えてきた人には感情で、冷静に論理的に対応を求めてきた人には対応で返そうとする。

「問題にはどんな伝え方でもちゃんと対応すべき。」

それは正論である。

だが、感情的なもつれが問題解決に悪影響を及ぼす可能性を考えて欲しい。

根本的に人は感情の動き方や強さ、行動に対する影響は人それぞれである。

だから、あなたの感情に100%同意し、同じように感じてくれる人がいるとは思わない方がいい。

 

感情を抜きにして問題提起、解決法の模索、解決への行動をドライに進める方がはるかに時間も労力も少なくてすむ。

「問題を解決し、我が子にとっても学校環境(相手の子含む)にとってもより良い方向に導く」

のが目的であって

「相手に謝らせる。」「相手を潰す。」

のが目的ではないことをお互いに肝に銘じておきたいものだ。

 

⑤担任→管理職→その他、相談の順番は大事

たまに、いきなり行政の教育委員会などに相談をする方がいらっしゃるが、あまり得策とは言えない。

理由は単純で、教育委員会は各学校のトラブルをリアルタイムで逐一把握していない。

なので、教育委員会→当該校に確認→学校内で事態の把握、担任の対応を協議→家庭と連絡

という無駄なプロセスが生まれてしまう。

無駄なだけならまだいいが、当事者抜きで担任の報告だけを頼りに間違った判断をすることもある。

親としては大事(おおごと)にした方が真剣に取り組んでくれると考えるかもしれない。

だが学校としても教育委員会から言われれば、結果を残さなければいけないと焦り、勇み足をする確率が上がってしまい何もいいことが無い。

よくある「学校は把握していなかった」「いじめは無いと認識していた。」

というパターンはこの進行タイプに多い。

時系列で整理できていないので後だし、後付けが容易にできてしまうのだ。

その結果言い逃れができてしまう。

 

それに比べて

①担任に相談→対応→解決!(ベスト)

②担任に相談→解決できず→管理職対応→解決(ベター)

③担任に相談→解決できず→管理職対応→解決できず→教育委員会含め第3者対応→解決

の方が、無駄がない上に解決までの道筋が伸びても全体の流れの把握がしやすい上に、誰が何を言ったかなどの資料がしっかりと整理、管理でき、解決の糸口をつかみやすい。

さらに拗れたとしても、順序と記録がはっきりしているので、第3者委員会や裁判になっても公正な判断を受けることができる。

毎回話し合いの内容を両者で確認することで、あとから言い逃れができないという利点もある。

 

⑥学校は捜査機関ではないし裁判所でもない

最後に、余程のことが無い限り担任との連携の中でトラブル解決につながることが多いだろう。

こんど別のコラムで書こうと思っているが、問題解決はお互いの人間関係が大事である。

普段から連携し、信頼関係がないと、いきなり感情的に連絡をしても単なるクレームととられかねない。

考えていただきたい。

あなたがそれ程知らない町内会の人に、いきなり感情的に何かを訴えられた時。

冷静に真摯に向き合おうとするだろうか?

そのあたりを頭の片隅に置いておくといいだろう。

 

そして、もしあなたのお子さんが明らかに違法な暴力や差別、迫害をうけているとわかったなら、その時は警察に相談した方がいいこともある。

ゆすり、たかり、性的な動画の撮影強要、クスリ絡み...

学校には違法行為を取り締まったり逮捕したりする権限はない。

我が子を違法行為の被害や命の危険から守ってくれるのは警察である。

学校は捜査には全面的に協力することになる。

問題解決と事件の解決は別物だということを覚えておいて欲しい。

 

大変に長く少し難しい文章になってしまったこと、申し訳ない。

対等な立場で冷静に話し合うことが、問題解決には大事である。

日々学校では子供たちにそう伝えている。

ではまず大人が、社会がその見本を伝えていくことが大事だと思いつづってみた。

 

大導寺 匠

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