今日は家庭との連携に電話や面談を活用するメソッドだ。
保護者からの電話、あまりいいイメージはないよな。
「○○先生、クラスのお母さんから電話です。」
なんて言われるとドキッとする。特に経験年数が少なく、学級経営に不安のある先生には恐怖かもしれんな。
だが、ちょっと視点を変えてみると、実は保護者も同じ気分なんだ。
自分にも子どもがいるから、それは実体験として知っている。
電話が来るとまず、「校内でのトラブル」「PTA関連」「学級閉鎖、臨時休校」このどれだろうか?と、頭の中がグルグルするもんだ。
いっそのこと電話連絡をやめるべきか
Web職員室を運営する校長の大導寺だ。教職員の君、今日もお疲れ様だな。
さて、じゃあ、いっそのこと電話連絡をやめて、すべてメールかラインですればいいか?
そうもいかないだろう。
むしろトラブル関連の連絡はなるべく直接、口頭でが基本だ。トラブル悪化の際に、文字は証拠として残る。学校全体として把握しているもので、検討済みのことならば文字で残っていても管理職で対応できる。
だが、担任が瞬間的な判断で、管理職の推敲を得ずに発信したメールなどは、基本的に自己責任になる。これは君にとっても危険過ぎると思わないか?
保護者は怒り狂い、メール内容を見た管理職は「これはお前の書き方が悪い。お前の落ち度だ。」などとなったら地獄絵図だ。
いっぽう、電話はもめたときに「言った。言わない。」の水掛け論になることがある。
だがこれは悪いことではない。お互い、ある程度の逃げ道を作っておくのは今後の関係改善に使える。
相手の退路を完全に絶って、追い詰めることが最善策ではないからな。
物事を文章で伝えるのは限界がある。
それから、声という情報伝達方法には、情報以上の価値が隠れている。
感情だ。
例えば、メールだったら、相手の返事が「わかりました。」だったら、そのまま受け止めるしかないだろう。わかってくれたんだな、と。
だが、電話や面談では、
「わかりました。」「わかりました!」「・・・わかりました。」「わかりましたッッッ!」
など、感情やニュアンスが伝わってくる。
これで、本当に伝わったのかが、ある程度つかめるだろう?
だから、電話や面談は今後もなくなることはない。
・・・どうだ。必要性はわかったが、どんよりしてきたか。わたしもだ(笑)
では、電話や面談が少しだけやりやすくなる方法を伝えよう。
その子の良かったところをつたえ、家庭でも喜びを共有してもらう。
子供たちと関わっていると、「この子成長したなぁ。」とうれしく思う時があるだろう。結果を出せなくても、努力の課程を評価できることもたくさん見られる。
そのうれしい気持ち、家庭にも伝えてみないか?
過去にこんな子がいた。理想的な成功事例を一つ。
学年始め、教室の掃除係の子で、丁寧に掃除用具を片づける子がいた。
褒めると、
「次に使う時に気持ちいいから。」
と言った。明らかに「いい子」アピールなのだが(笑)。
とはいえ、家でも掃除好きなのか、きれい好きなのか、素敵だ。
早速、放課後に家庭に電話をしてみた。すると
「うちの子、自分の部屋ぐちゃぐちゃですよ(笑)。いつも怒ってます。」
との返事が来た。
フフッ、やはりな。子どもは家と学校では全然違ったりするのは普通だ。
だが、これを「表裏のある子」と決めつけるのは間違いだ。
私は、
「お母さん、じゃあお子さんは、場をわきまえた行動ができるんですね。素晴らしいです。」
「ええかっこしい(かっこつけ)なのよ。」
「いいじゃないですか。ぜひ、この電話のことを伝えてください。あ、それから「学校でちゃんとできるなら家でもちゃんとやりなさい!」は無しで(笑)」
「えぇ~?言おうと思ってたのに(笑)」
「ダメです(笑)。安心して息抜きできる場所が家庭なんですよ。それでいいと思います。」
そして電話を終えた。
次の日、その子が少し恥ずかしそうに、でもうれしそうに、
「せんせ~、昨日家に電話したでしょ!」
「したよ。何か言われた?」
「学校ではまぁまぁがんばってるんだね。だって。」
「良かったじゃないか。」
「家でもちゃんとしなさいって言いたいのに、先生にとめられたわって。」
「フフフッ。だってそんなの疲れるだろ?」
「無理。」
「だよな~。」
まあ、こんな感じだ。
すこしホッコリできたか?まぁコレを激務の間にやるわけだが(笑)。
1学期(もしくは前期)に集中しろ、あとは流せる
この方法、全員にやる必要は全くない。
というか、私も全員にやったことは無いし、そもそも無理だ。
毎日毎日誰かの家に電話をかけたら、こっちも疲れるし、正直気持ち悪いだろ(笑)。
保護者の間で噂になるぞ。
「媚びへつらっている。」なんて思われたら最悪だ。
「家庭にも伝えたいくらいスペシャルないいこと」
なんて毎日は起こらない。一週間に1回くらい、月あたり4人。こんなもんだ。
それでも2~3か月で10人を超える。
気が向いたらやる、くらいでちょうどいい。
戦略的に、トラブルメーカー、ネグレクトなどの気になる子、気になる家庭を狙うのもいい。こういう時の反応で、家庭環境などもある程度探ることができる。
「いいこと」で電話しているわけだから、相手も悪い気はしないし、マイナスにはならない。
問題行動を起こした時にスムーズに話し合いに入れるようにするための、布石だ。
これは、家庭訪問や、参観日の懇談会後の時間などでも使えるテクニックだぞ。
直接顔を合わせた時などは特に効果が高い。
子どもも、大人も、褒められてうれしくない者などいない。
そして、君も、うれしそうな相手の顔を見たら、何となく幸せを感じないか?
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